プレリュードから拡がるHOBBYの世界【タミヤ編】

プレリュードから拡がるHOBBYの世界【タミヤ編】

クルマ好きの原点にはHOBBYがある

クルマを好きになる、そのきっかけとして、HOBBYの世界があります。プラモデルやミニカーは、幼少の子どもたちから高齢者まで老若男女問わず多くの人に愛されています。9月発売予定の「Prelude」で、何やらHOBBY業界が盛り上がっていると聞き、Honda Magazine編集部は5月に開催された「静岡ホビーショー」を訪れました。

タミヤブースに実車と開発責任者

目的の「タミヤ」ブースには、なんと「新型Prelude プロトタイプ」の実車と、開発責任者・山上LPLの姿が。

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新型Prelude 開発責任者 山上 智行 (開発責任者=LPL)

――山上さん、どうしてここに?

 

山上LPL:

実は今回、実車の発売とほぼ同時期に、タミヤさんからプラモデルが発売されることになりました。それで今回、静岡ホビーショーでタミヤさんが、新型Preludeのプラモデルをお披露目されると聞きまして、“ならば実車も展示しませんか?” とご提案し、実現しましたので、会場に見に来たんです。

 

――会場の方々の反響は、いかがですか?

 

山上LPL:

大人だけではなく、お子さんも多く会場に来てくれるのが、何より嬉しい。反応もいいですよ。


――タミヤのブースに特別展示された「新型Prelude プロトタイプ」、評判はすごく良い感じでした。でも、なぜ実車の発売前に、プラモデルがお披露目?? 編集部は不思議に思い、山上LPLと、そしてタミヤの製品開発を担当されている石黒さんに、話を伺いました。

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株式会社タミヤ 企画開発部 石黒 毅さん

同時発売は“山上LPLの夢”だった

――どうして実車の発売前に、プラモデルが出来上がったんですか?


山上LPL:

実は(笑)、僕から売り込みに行ったんです。ホビーショーに伺って。

 

――売り込みに??

 

山上LPL:

僕自身が子どもの頃の原体験で、タミヤのプラモデルへの強い想いがあったので、いつか開発責任者になったら、同時発売ということをやりたいなと思っていました。それにHondaの四輪のプラモデルは、NSX以降10年近く新製品が出ていないことを知って、悔しい想いもあって、おしかけました。


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新型Preludeのプラモデルに、山上LPLのサインが


石黒さん:

新型Preludeを模型として製品化するにあたって、実車の発売前ですから、機密保持のもと、貴重な図面や資料をご提供いただきました。そういう経験って、私自身過去にはなかったので、驚きました。さらに、栃木の研究所での取材や、工場まで見学させていただいて。


山上LPL:

すいません、権限を使わせていただきました(笑)。

 

石黒さん:

工場や研究所に伺うのも初めての経験でしたので、私たちタミヤチームも、正直、テンションが上がりました。

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――でも、タミヤさんに押しかけたからといって、必ずしも製品化できるということではないですよね?

 

石黒さん:

もちろん企画会議で検討しましたけど、前回のモビリティショーで大きな話題になりましたし、スポーツカーっぽいデザインがかっこいいので、反対する声もなく、すんなり製品化が決定しました(笑)。

 

山上LPL:

実は僕、イタズラを仕掛けたんです。モビリティショーにタミヤさんをお招きした時に、勝手にタミヤのダミーの箱に新型Preludeの画像を入れたパッケージを作って、持っていったんです。Hondaの研究所にもプラモデル好きが多いので、ノリノリで創って、それでタミヤさんにプレゼンしたんです。

 

石黒さん:

驚きました(笑)。そのおかげでHondaさんの熱意が伝わったのは事実です。

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模型の再現度に驚きとこだわり

――そんな裏話があった、実車とプラモデルの、ほぼ同時発売。そのコラボのお披露目が「静岡ホビーショー」で実現したようです。

 

石黒さん:

今回の模型は、タミヤ初のチャレンジも入っています。新型Preludeのリアがハッチバックのように開くことを再現しています。これは1/24スポーツカーシリーズでは初めてなんです。

山上LPL:

そこにキャリーケースやゴルフバッグが入ることまで、模型で再現していただきました。さらにすごいのは、インテリアもこだわって再現いただきましたし、実は新型Preludeに搭載する新技術「Honda S+Shift」のデカール(シール)まで。(このデカール、わずか1mm位の大きさ!)

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石黒さん:

実車を開発されたみなさんの想いやお話を聞いていたので、熱意に応えたくて頑張りました(笑顔)。でも一番大変だったのは下回り。模型開発の初期段階では実車もないので苦労しました。あと、タミヤの模型は塗り分けの作業が面倒にならないように、部品を出来る限り分割して成形しているのですが、実車がないと詳細の色分けが分からなくて、ここも大変でした。その都度、実車の開発者と直接やり取りするのも、実は初めてのことでした。

プラモデルに込められた想い

山上LPL:本当に苦労をおかけしましたけど、ある意味、私の夢が叶ったので、本当に嬉しいです。今日も会場に子どもたちがいっぱいで、自動車の展示会にはない光景が。これからの日本の未来に生きる子どもたちに見てもらえる、こんな嬉しいことはないですね。

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石黒さん:

実は私、プライベートでHonda S660に乗っているんです!Hondaさんのクルマって夢があるというか、楽しいライフスタイルが想像できるのが魅力です。個人的には、もっとスポーツカーを頑張って欲しいですけどね(笑顔)。

 

山上LPL:

タミヤのプラモデルって、まずパッケージのイラストが魅力的。そして箱を開けると、パーツが並んでいて、ワクワクする。その心踊る感じや、そこに詰め込まれた色んなストーリーは、その模型の発売後、20年、30年経っても、変わらない。組み立てないで箱のままとっておいて、何十年先にもタイムカプセルのようにストーリーを感じ、感動を味わえる。それって、我々の実車とはまた別の大きな魅力なんです。タミヤさんの箱って、そんな想いが詰まった素敵な宝箱だと思います。


石黒さん:

うわー! 私、泣きそうです!(目に涙を浮かべながら)


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2代目プレリュード 復刻プラモデル

――なんだか、子どものように喜び、熱い話をしてくれた二人。「新型Prelude」と同時期にプラモデルが発売されるという驚きの裏には、会社の壁を超えた、開発者同士の想いの相乗効果があったように、編集部は感じました。

プラモデルをすぐに組み立てるか、あるいは箱のまま取っておくか、それはあなたの自由。ただ、その箱の中には、Hondaの山上LPLとタミヤの石黒さん二人を含めた、多くの開発スタッフの想いが詰まっていることを忘れないでください。


<オリジナルWeb URL>

プレリュードから拡がるHOBBYの世界【タミヤ編】|Honda Magazine|Honda公式サイト

Ameerul Ashraff Muhammad Fauzi , Grad. Eng.

VPDE,Lead Engineer(Design)|Proton Young Talent|Certified Data Analyst(EDP)|Certified Lean Six Sigma Green Belt|Graduate Engineer(Mechanical)|Graduate Technologist(Manufacturing&Industrial Technology)|First Class Holder

1週間前

amazing

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